これってもう景気のせいには出来ないと思います。何が?
ストックフォトから入るここ最近の実入りです。やはり時代は変わったんだなと実感しつつも、有効な次なる一手というものが打てない苦しみ、生み出せない苛立ちは、きっと私だけではない筈です。
過去を振り返ればここ数年来、長引く不景気(デフレ下)の影響が何しろ大きい訳ですが、ストックフォト環境に於いては絶えずNOと変革を迫られる年つきでもあったように感じます。当然景気が悪くなればなるほどお客さんの財布の紐はきつくなる一方なので、売る側とすれば何らかの起爆剤が必要になります。
まずマイクロストックが始めた低価格路線ですが、一般個人という思わぬお客さんを引き込んで販路の占有率を拡大させる中で、国内の既存店は大小に関わらず後追いを強いられる事になりました。これまでのRM販促手法に加えて売り切り用途向けのRFを展開せざるを得なくなります。それも初めから低価格設定で。
そうこうしているうちにマイクロストックがまた新たなビジネスモデルを確立します。それがいわゆる『定額制(サブスクリプション)』販売です。コースによってサイズや枚数が月ごと・年単位でそれぞれ用意されているので、お客さんは自らの業務環境など条件に応じて、素材1点辺りが更に低い単価で仕入れ可能になりました。
既存店は再び後追いさせられる格好で同サービスを実務に導入していく訳ですが、これが今後のストックフォト業界の未来に大きく関わってくる事を知ってか知らずか、大手の殆どが既に定額制サービスを本格稼働させています。
サブスクリプションと言えば、あのAdobeが展開中のネット利用によるソフトウェアの貸し出しサービスがありますが、レンタル事業など他の業界でもその手法は結構多方面で行われている過去も含めごく一般的な販促手法です。しかしこのやり方はストックフォトでは余りそぐわない気がしています。
元々サブスクリプションとは使用出来る権利を期間限定でユーザーに与え期限が過ぎれば使用出来なくなるようにシステム化されているので、お客さんはソフトウェア商品ではなく『使用期間』を買っているという事になります。
しかしながらストックフォトの一旦外に出た画像(動画)はお客さんのハードディスクにその後も存在し続ける訳で、規約内であれば必要に応じて同じ画像を無許可で何度でも利用する事が出来ます。毎月数百点単位での定額制を繰り返すうちに仕入れた画像(動画)は相当数に達し、素材に事足りるようになった時点でいずれユーザーは購入をストップし定額制そのものを契約解除してしまうかも知れないのです。
数千点もの素材を入手してしまえば殆どが間に合ってしまうので、効率的に考えれば余計な出費は当分控えるようになると思われ、その結果契約作家の身入りは今以上に急激に低下していくのだろうと危惧されます。代理店の売り上げが下がれば更なる値引きが起こり、下方修正にともなう契約作家へのギャランティ条件の見直しなど我が身にとっての危機的なマイナス要因は膨らむばかりです。
勿論体力の尽きた代理店は今後も続々と市場から姿を消していく事になります。マイクロストックの厄介な次なる手法に気をもむ今日この頃です。
さて、既存店の運命は如何に!
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